脳外科医 竹田くん

あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語

2023-01-01から1年間の記事一覧

【第112話】新天地での評判

前の病院では「京都の病院では女医ばかりが優遇されて自分は干されていた」と言い、新天地では「古荒が専門医試験の邪魔をした」と言った。 赤池市では巨大な病院組織を相手に知略で互角に戦った。だが、新天地ではそんな事をするほど知恵の回る奴だとは思わ…

【第111話】男の約束 ver.2

地方で問題を起こした医師は最終的に都会に紛れ込む事が多い。とくに大病院では医師の数が多いため、少々変な先生がいても薄まり効果で目立たなくなる。 竹田くんは前の職場で上司のパワハラに悩まされた事を伝え、ここではカテーテルをやりたいと希望する。…

【第110話】医療事故の件数

何件かの医療事故が起こっていたとは言え、正確な件数さえ知られなければ・・・うやむやに出来たかもしれない。医療課長・柴井は取材に対応。「医療事故の合計件数ですか?今、調べますね。」 第一報は地元新聞社B社によって行われた。続いて、A社が独自取材…

【第109話】医療過誤は1件のみ!

市内には竹田くんに関する噂話がすでに出回っていた。病院幹部からは「人が死ぬから手術禁止」という情報も漏れていた。 院長「でも・・彼は今月末で辞めますから!」地元新聞社A社編集長の鋭い眼光が光る。(同一医師が複数の医療事故だって?)院長「同一…

【第108話】語るなかれ聞くなかれ

竹田くんの退職で全ては闇に葬られるはずだった。「語るなかれ、聞くなかれ」それが赤池村の掟である。なぜこの特異な物語が世に出たのか? 竹田くんが退職する2週間前・・・病院は経営問題の記者会見を開いた。地元新聞B社の記者「連続医療事故が経営悪化…

【第107話】依願退職

竹田くんは市民病院との手術解禁をめぐる戦いに敗れはした。だが、そこには・・・男らしい面構えになった竹田くんがいた。「自分の能力を出し切ったのだから、悔いは無い!」竹田くんは院長に退職を申し出る。竹田「この病院は辞める事にしました。次の病院…

【第106話】心機一転!

「今日から頑張るぞ!」と新生活をスタートする竹田くん。時期はずれるが院長も同じように新生活へと旅立ってゆくことなる。赤池市では、まるで何事もなかったように時が流れて行った。何年もの月日が流れても、脳外チームによって生み出された被害者はその…

【第105話】傷害罪VS虚偽告訴罪

古荒先生の弁護士は、虚偽告訴に対する逆告訴を行った。(竹田くん側の刑事告訴の内容の詳細がやっと分かったが、殺人未遂罪ではなく傷害罪での告訴だった。傷害罪であろうと、有罪になった段階でたとえ罰金刑でも懲戒免職は免れないだろう。) 脳外チームは…

【第104話】虚偽告訴に対する逆告訴の準備

作家ヘッセと心理学者ユングとの交流の様子を記した名著「ヘルメティック・サークル」。高名な心理学者が推薦文を寄せるこの本の作者ミゲール・セラノが、ネオ・ファシズムの極北に位置する秘教的ヒトラー主義(※)の主唱者であるなどと誰が見抜けるだろうか…

【第103話】師弟の契り

ひとたび師弟の契りを結べば、弟子の生き様を最後まで見守るのが師匠。 彼は最初、おっちょこちょいな「困った奴」にすぎなかった。自由放任状態に置かれた結果、今彼は病院を破壊しようとしている。この衝動は彼自身のキャリアも破壊してしまうだろう。 た…

【第102話】臨戦態勢

パワハラ訴訟対策の臨戦態勢が敷かれた。竹田くんは休暇後、外来診療への復帰を申し出たが拒否された。勤務態度も監視され始めた。 花房看護部長は疲弊する看護師たちのことが何よりも心配だった。竹田くんの暴言を録音するためボイスレコーダーを携帯する者…

【第101話】秘密の作戦会議

資格取得に失敗したとは言え、竹田くんはまだ2枚のカードが残っていた。古荒先生への刑事告訴と院長に対するパワハラ訴訟である。 ところで、院長は、いかにして竹田君を迎え撃ったのか?古荒先生の事情聴取の1カ月前・・・院長は、古荒先生が刑事告訴された…

【第100話】背後からの急襲

久しぶりに不破弁護士が来院し、病院幹部との攻防戦を繰り広げた。「古荒医師によるパワハラは明白であり、手術解禁を要求する!」「そ、それは・・・」 一方、竹田くんの元には学会事務局から連絡があった。 「・・・年の全手術症例のオンライン報告データ…

【第99話】一緒に学ぼうぜ!

2度目の事情聴取も過酷を極めた。なんとか殺意を自白する事は我慢した。 古荒先生はその足で病院に向かい残務をこなした。(警察のイメージは固まっている。なんとか禁固刑ではなく罰金刑で済まないか?禁固刑なら人生が終わる。) 古荒先生の弁護士は院長…

【第98話】好意的な和解案

やむ得ず古荒先生も代理人弁護士を立てた。 次の事情聴取の日の直前に、竹田くんから電話がかかってきた。「不破弁護士から伝言があるんです。殺意を持って僕を突き落としたと供述する事を条件に、刑事告訴を取り下げても良いらしいですよ。」「これが犯罪者…

【第97話】ひとり歩むもの

警察の事情聴取は想像以上に過酷なものだった。医療事故報告書など提出された公式資料には竹田くんのウソを証明できるものは無かった。すでに古荒医師が暴行事件の犯人であるという筋書きが出来がっていた。 「どうしてこうなったのか?」自問自答する古荒先…

【第96話】人生はじめての取り調べ

翌日、いつ収監されるのかとドキドキしながら待っていたが、結局何も起きなかった。 市民病院に新任の事務局長がやってきた。兵頭事務局長だ。その頃、赤池市では職員の不祥事が相次ぎ、綱紀粛正をはかるため新たに事務局長が送り込まれてきたのだ。 古荒先…

【第95話】即日起訴

最初、虚偽の医療事故報告書は皆にとってハッピーなものに見えた。だが、これは医療を冒とくした呪いの文書。この文書はこれからたくさんの人々を不幸にしていくが、まずそれは警察を騙した。 告訴したとの通知が古荒先生の元に届く。権謀術数を駆使した謀略…

【第94話】あり得ない計画

手術禁止のままだと外科医生命が終わる。竹田くんはいよいよ焦り始めた。(竹田くんみたいなタイプは負け始めた時が一番危険になる。)竹田くんは、あり得ない計画を思いつく。 「古荒先生、ごめんね。でもボクの苦境をわかってください。先生ならきっと許し…

【第93話】刑事告訴への道

竹田くんは服務規程違反で処罰される事も無く、虚偽報告書を逆手にとってパワハラ訴訟をちらつかせていた。 院長は譲歩しつづけ、いつのまにか古荒先生が暴行事件を起こしたかのような既成事実が積み上げられていった。 日常的に古荒先生は竹田くんに脅され…

【第92話】接近禁止命令

事態が動かないのを見て、竹田くんは不破弁護士に未だにパワハラ暴力が続いている事を伝える。正義感あふれる不破は、暴力医師・古荒先生を止めようと決意する。 院長は、古荒先生に竹田くんの半径5メートルに近づかないように命令する。接近禁止命令である…

【第91話】勲章にしか興味が無い男

古荒と竹田の物語には、何か普遍的なものを感じる。 報告書の偽造で他人の功績を横取りして勲章を得ようとする男と、周囲から指摘されていたにも関わらず彼の危険性に気づかずに自分の小隊を壊滅させられしまう素朴だが優秀な伍長を描いた映画「戦争のはらわ…

【第90話】医療関係者の抵抗

病院上層部は、不破弁護士の強い圧力にひるんだ。そして古荒と院沢を懲戒処分にすべきか検討(調査手続き)に入った。 院沢は、上層部が竹田くんの言いなりになるのを見て、そのあまりの理不尽さに激怒した。 ちゃんと仕事をやっている側が最悪の場合、解雇…

【第89話】闘士・不破の戦い

歴史とは皮肉なものだ。 第二次世界大戦のフランスで圧政と闘ったレジスタンスの英雄でも、アルジェの戦いでは、アラブ人を抑圧する側に回る。 映画「アルジェの戦い」でアラブ人によるレジスタンス運動の掃討作戦を指揮したマチュー中佐(元レジスタンスの…

【第88話】古荒先生の改心

時間が戻るが、竹田くんの階段転落事故の一か月前に、脊髄専門の薬師丸先生から古荒先生に電話がかかってきた。 薬師丸先生は「手術動画を見たぞ!なぜ止めないんだ!お前も同罪だ!自分の家族でも止めないのか!」と電話越しで猛烈に怒り狂った。 ※赤池市民…

【第87話】不破弁護士の怒り

人権派弁護士を使って院長に圧力をかけた竹田くんは、誰も注意しない自由放任状態を手に入れた。だが、手術の無い病院勤務は、覇気がなく楽しくない。 籠り部屋から不破弁護士に電話しては古荒先生の悪行を吹き込んだ。「古荒先生は僕をはめようとしています…

【第86話】院長の孤独

市民病院 不破弁護士は一旦去ったが、また必ずやって来る。 院長は孤独だった。ただでさえ、院内政治を隠然と支配する『古(いにしえ)のもの』に院長は疎まれていた。パワハラ裁判、医療事故公表などの失点は、立場を危うくする。 また、パワハラ裁判になれ…

【第85話】見透かされた弱み

市民病院 らつ腕弁護士の不破は、すぐに赤池市民病院の弱みを見抜いた。 「重大事故を連発させているなら、なぜ公表しないのか?事故調査委員会はちゃんと開いたのか?」 院長は焦る。そもそも、竹田くんの一連の医療事故とまともに向き合えるわけがないのだ…

【第84話】人権派弁護士・不破

市民病院 竹田くんの最終兵器とは、人権派弁護士の不破を投入する事だった。 不破弁護士は、弁護士と言うよりは闘士と呼ぶべき人物だ。もはや伝説と化したその数々の武勇伝において、不破はつねに弱者の側に立ち権力との熾烈な死闘を繰り広げてきた。 院長室…

【第83話】こいつら潰す!

市民病院 竹田くんは、看護師の院沢に意見された事にブチきれて「こいつを潰す」と決意する。院沢に限らず、日増しに脳外科病棟の看護師との仲は険悪になっていった。 竹田くんはそろそろ最終兵器を使う時が来たと思う。そして、医師秘書の銀谷に「弁護士に…