脳外科医 竹田くん

あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

【第127話】市民病院を守ろう!

全国報道直後から半年間は、医療事故関連の記事が何度も新聞に掲載された。しかし、件数以外の内容が公表されることはなく、市民の中には「予後が悪かっただけで、たいした話ではない」と考え始める人も少なくなかった。 新体制発足直後、強力な市民病院応援…

【第126話】新体制発足

前院長の立派さでもあり弱点でもあったのは、彼が一人で戦った事だ。これからは一人一人が細胞となり集合体の一部となるのだ。何事も組織で立ち向かうのだ。新体制が発足した。 最大の悲劇は、竹田くんの医療事故が社会的に大きな意味のある事件だと言う認識…

【第125話】院長交代の記者会見

院長が定年退職を迎え病院を去る事となり、院長交代の記者会見が行われた。新たに3件の医療事故を認めたが、詳細については「係争中なので回答できない」と答えるしか無かった。 思えば退職までの半年は孤軍奮闘の日々・・・院内政治において政治力を背景に…

【第124話】事故調査委員会の開催

地元B新聞社は手術禁止中に起きた問題を、地元A新聞社は肺挫傷の事故を追及していた。包囲網は狭まっていた。 その場しのぎの方便では通用しないと判断したのだろうか?最初の医療事故から2年半後、正規のメンバーを揃えて院内事故調査委員会が開催された…

【第123話】外部委員会による検証

県内新聞C社の記事に「市民病院が外部委員会で医療事故を検証へ」との記事が載る。市長の発言が記事化されたのだ。 市長「医療事故などを検証」事務局長「医療事故などの対応を検証」 ※同じ日の発言なのに、「事故を検証」と「対応を検証」で2人の発言内容…

【第122話】他病院でのバイト疑惑

地元A新聞社が取材を進める過程で、竹田くんが在籍中から新天地でバイトをしていたのではないかという疑惑が浮上する。遅刻早退・無断欠勤の常習犯の竹田くん。手術禁止中に他病院で許可なきバイトをしていても処分されなかったのか? 地元A新聞社・編集長…

【第121話】全国報道のインパクト

全国報道を受け竹田くんの患者からの問い合わせが増え始めた。市民病院を怖いと思う人々が増え、救急車の搬送の際に「市民病院だけはやめてくれ」と懇願する人まで現れる始末。 病院関係者は、竹田くんとの戦いでは患者との連帯意識(同じ被害者意識)を持っ…

【第120話】個別検証は一行

地元A新聞社は、当時の医療関係者に取材し「個別検証の会議には参加していない」との証言を得る。それを記事にする。つまり医療事故調査委員会は開催されていないのだ。ところが議会では、市長や市民病院の事務局長が「委員会に準ずる会議を開いていた。議…

【第119話】全てがハリボテ?

待てど暮らせど、学会に検証資料は届かなかった。その頃、地元A新聞社は学会に取材した。そこで「検証資料が届かないので督促を行うつもり。」という事実を知る。 ちゃんと検証したならなぜ出し渋るのか?地元A新聞社は市民病院に対する疑念を深めていった…

【第118話】なければ作れば良い!

「1件以外は医療過誤ではないと発表したなら根拠を示せるはず」として、学会は市民病院に検証資料の提出を求めた。 そもそも医療事故調査委員会すら開いていない。困り果てた院長は医療安全に検証資料の作成を命じる。一人の看護師が市民病院を救うため・・…

【第117話】全件外部検証?

赤池市の公報によって、大手メディアの記者は、医療事故の全件で外部検証が行われ、その結果、医療過誤が1件であったという認識を持ってしまう。そして、その認識が記事化された。しかし、事実とは異なり誤報である。 院長が4か月前の記者会見で口走った「…

【第116話】全国ニュース報道

新天地に移って3カ月後、突如として医療事故多発事件が全国ニュースとして報道された。各社WEBニュースに広範囲に掲載され、SNSには憶測が躍った。竹田くん「もうだめだ。俺は完全に終わった・・・」院長「あと3ヵ月だった・・・さすがに辞任もやむなしか…

【第115話】誤って静脈へ

2本目は動脈に挿入したつもりだったが誤って再度静脈へ挿入してしまう。事態を打開しようと思いっきり引き抜いたところ・・・プチッ!「あれ?」管が引きちぎれて一部が体内に残ってしまった!! 手技が乱暴で、普通は起こり得ない事故だった。この医療事故…

【第114話】『思いっきり』は封印!

(竹田くんの退職直前)「次の職場から問い合わせがあっても、彼のトラブルは伝えない様に」と通達された。 (新天地に移って、ちょうど2カ月後)重症患者が運ばれてきた。竹田くん、出動!「カテーテルだけど『思いっきり突き刺す』は封印しよう、患者を大切に…

【第113話】学会と医局

提訴を受け市民病院では箝口令が敷かれた。裁判以外の竹田くんの事(他の医療事故や勤務態度など)について何を質問しても、病院の回答は決まっていた。「訴訟に関わる事なので回答は控えさせていただきます。」一件の医療事故の訴訟を理由に、他の全ての医…

【第112話】新天地での評判

前の病院では「京都の病院では女医ばかりが優遇されて自分は干されていた」と言い、新天地では「古荒が専門医試験の邪魔をした」と言った。 赤池市では巨大な病院組織を相手に知略で互角に戦った。だが、新天地ではそんな事をするほど知恵の回る奴だとは思わ…

【第111話】男の約束 ver.2

地方で問題を起こした医師は最終的に都会に紛れ込む事が多い。とくに大病院では医師の数が多いため、少々変な先生がいても薄まり効果で目立たなくなる。 竹田くんは前の職場で上司のパワハラに悩まされた事を伝え、ここではカテーテルをやりたいと希望する。…

【第110話】医療事故の件数

何件かの医療事故が起こっていたとは言え、正確な件数さえ知られなければ・・・うやむやに出来たかもしれない。医療課長・柴井は取材に対応。「医療事故の合計件数ですか?今、調べますね。」 第一報は地元新聞社B社によって行われた。続いて、A社が独自取材…

【第109話】医療過誤は1件のみ!

市内には竹田くんに関する噂話がすでに出回っていた。病院幹部からは「人が死ぬから手術禁止」という情報も漏れていた。 院長「でも・・彼は今月末で辞めますから!」地元新聞社A社編集長の鋭い眼光が光る。(同一医師が複数の医療事故だって?)院長「同一…

【第108話】語るなかれ聞くなかれ

竹田くんの退職で全ては闇に葬られるはずだった。「語るなかれ、聞くなかれ」それが赤池村の掟である。なぜこの特異な物語が世に出たのか? 竹田くんが退職する2週間前・・・病院は経営問題の記者会見を開いた。地元新聞B社の記者「連続医療事故が経営悪化…

【第107話】依願退職

竹田くんは市民病院との手術解禁をめぐる戦いに敗れはした。だが、そこには・・・男らしい面構えになった竹田くんがいた。「自分の能力を出し切ったのだから、悔いは無い!」竹田くんは院長に退職を申し出る。竹田「この病院は辞める事にしました。次の病院…

【第106話】心機一転!

「今日から頑張るぞ!」と新生活をスタートする竹田くん。時期はずれるが院長も同じように新生活へと旅立ってゆくことなる。赤池市では、まるで何事もなかったように時が流れて行った。何年もの月日が流れても、脳外チームによって生み出された被害者はその…

【第105話】傷害罪VS虚偽告訴罪

古荒先生の弁護士は、虚偽告訴に対する逆告訴を行った。(竹田くん側の刑事告訴の内容の詳細がやっと分かったが、殺人未遂罪ではなく傷害罪での告訴だった。傷害罪であろうと、有罪になった段階でたとえ罰金刑でも懲戒免職は免れないだろう。) 脳外チームは…

【第104話】虚偽告訴に対する逆告訴の準備

作家ヘッセと心理学者ユングとの交流の様子を記した名著「ヘルメティック・サークル」。高名な心理学者が推薦文を寄せるこの本の作者ミゲール・セラノが、ネオ・ファシズムの極北に位置する秘教的ヒトラー主義(※)の主唱者であるなどと誰が見抜けるだろうか…