脳外科医 竹田くん

あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語

【第93話】刑事告訴への道

 竹田くんは服務規程違反で処罰される事も無く、虚偽報告書を逆手にとってパワハラ訴訟をちらつかせていた。
 院長は譲歩しつづけ、いつのまにか古荒先生が暴行事件を起こしたかのような既成事実が積み上げられていった。
 日常的に古荒先生は竹田くんに脅されていた。他の医師に「殺人未遂犯にされちゃうかもしれません。」と言うと、冗談だと思われ笑われた。だが事態は着実に、最悪の方向へと進行していった。水面下ではすでに刑事告訴の手続きが進んでいたのだ。
 一方で、竹田くんはカテーテル専門医試験に向けて猛勉強中だった。「執刀禁止で受験に必要な症例数がぜんぜん無いのにどうやって受験するんだろう?」と古荒先生は首をかしげていた。