脳外科医 竹田くん

あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語

【第142話】霧

【第142話】霧『隠蔽工作篇』はこれで完了になります。 (続編の製作時期は未定です。)

【第141話】学会とのトップ会談

新体制になって、市民病院の秘密主義は改善されたのだろうか? 新体制の院長は、学会トップとの面会アポが取れない事に苦悩していた。このままでは医師の派遣に影響が出る可能性がある。一方、学会の側から見れば、市民病院の検証資料を見て、この病院にどう…

【第140話】認定停止の背景③

医療事故を誠実に検証する事で再発防止に寄与する。過失の有無が検証されれば被害者は救済される。 闇に葬ればそれは医療に対する冒とくである。 女性市議「認定停止は非常に重大な事件」女性市議による医療事故の追及がはじまるのか?だが、質問内容は追及…

【第139話】認定停止の背景②

竹田くんが在籍していた頃、竹田くんが書いた事故報告書は、手術失敗の責任を科長になすりつける内容のため、院長に対して「手術禁止はパワハラだ」と主張する切り札となった。しかし、竹田くんが去った後は、病院がこの報告書を活用する事となった。 だが学…

【第138話】認定停止の背景①

認定停止の1カ月後、市議会にて認定停止についての質問が為された。病院の管理者「資料を慎重に用意していたら提出が遅くなった。それで心象を害したという認識はありません。」 認定停止の半年前、院長と看護師が病院の窮地を救おうと苦戦していた。脳外科…

【第137話】学会による認定停止

地元A社は記者会見の矛盾点を追求し続けた。だが多くの人が、誤差はあったとしても記者会見で問題が決着したと思っていた。(誰だって、記者会見で世間に向けて発表された事が間違っていると思わないし、自らが発表した方針を市や市民病院が実行しないなん…

【第136話】医療者からのSOS

記者会見で、病院は貝山さんの執刀医が誰かわからないという立場を示した。だがそもそも、医療安全は執刀医が竹田くんである事を把握していた。だから科長に裏報告書を提出させたのだ。(学会ももちろんその事を把握している。) 「とんでもない医師が来た」…

【第135話】患者への説明責任

記者会見で、副院長は「医療事故に遭った患者へ説明したと思う」と回答した。会見後に地元A社が取材を進めると、病院から何ら連絡がなく、会見後に自ら病院に電話する事で家族が医療事故の患者と判明した人がいる事がわかった。改めて病院に問うと、「手術…

【第134話】2度目の全国報道

記者会見の翌日、半年間で2度目の全国報道が流れた。竹田くんの全執刀件数が公表されなかった事で、記事を読んだ読者に誤解が生じてしまった。再びSNSはプチ炎上し「100%失敗する医師」との誤解が広がった。市民病院の医療事故は、竹田くんにとって『逃…

【第133話】記者会見④「事務局長」

「過誤は1件のみ」の根拠とされた作戦会議とは、いったい何だったのか?竹田くんの失点を検証して、パワハラ訴訟に備えるための会議だったのではないか? 地元B社は事務局長に「遅刻・早退・無断欠勤を把握していたか?」と問う。すると、事務局長は「病院…

【第132話】記者会見③「複雑怪奇」

記者会見では、前回の全国報道の時の公報が誤っていた事が公表された。大手メディアは自治体の公報を信じて誤報を流したのだ。つまり、市は誤った公報を用いて事故検証の正当性を主張していた事になる。 市民病院の医療事故対応はまるで違法建築のようだ。発…

【第131話】記者会見②「追加3件」

地元A社は貝山さんの件で質問を続けた。世の中の普通の医師は、他の科の事故の説明など怖くてできない。だが副院長は見識と勇気を兼ね備えた有能な人物のため、脳外科で発生した医療事故についてすらすらと回答していった。 地元A社はその様子を動画サイト…

【第130話】記者会見①「貝山さん」

院長以下3名は、記者会見の主役であるが、「過誤は1件のみ」と決定した会議の参加者でもある。つまり事故検証における当事者だ。会見がはじまると、院長ではなく、副院長と事務局長が連携して記者への回答を行った。 まず貝山さんの事故だが、外部検証結果…

【第129話】記者会見への道

学会とのやりとりだが、再三に渡り資料提出が求められた。市民病院は不十分な検証資料を出さざるを得なかった。 地元A社記事からはありえない事が起こったのだと読み取れ、市民病院はようやく記者会見を開かざるを得ない状況に至った。※院長交代の記者会見…

【第128話】悪夢の日

新体制は外部委員会のメンバーを人選した。事故検証をするか否かも含め、全てを委員会に委ねるという流れに。結果が出るのは1年後だ。本来であれば、このままフェードアウトしてゆくはずだったのかもしれない。 ところが、新体制が発足して2カ月後、病院に…

【第127話】市民病院を守ろう!

全国報道直後から半年間は、医療事故関連の記事が何度も新聞に掲載された。しかし、件数以外の内容が公表されることはなく、市民の中には「予後が悪かっただけで、たいした話ではない」と考え始める人も少なくなかった。 新体制発足直後、強力な市民病院応援…

【第126話】新体制発足

前院長の立派さでもあり弱点でもあったのは、彼が一人で戦った事だ。これからは一人一人が細胞となり集合体の一部となるのだ。何事も組織で立ち向かうのだ。新体制が発足した。 最大の悲劇は、竹田くんの医療事故が社会的に大きな意味のある事件だと言う認識…

【第125話】院長交代の記者会見

院長が定年退職を迎え病院を去る事となり、院長交代の記者会見が行われた。新たに3件の医療事故を認めたが、詳細については「係争中なので回答できない」と答えるしか無かった。 思えば退職までの半年は孤軍奮闘の日々・・・院内政治において政治力を背景に…

【第124話】事故調査委員会の開催

地元B新聞社は手術禁止中に起きた問題を、地元A新聞社は肺挫傷の事故を追及していた。包囲網は狭まっていた。 その場しのぎの方便では通用しないと判断したのだろうか?最初の医療事故から2年半後、正規のメンバーを揃えて院内事故調査委員会が開催された…

【第123話】外部委員会による検証

県内新聞C社の記事に「市民病院が外部委員会で医療事故を検証へ」との記事が載る。市長の発言が記事化されたのだ。 市長「医療事故などを検証」事務局長「医療事故などの対応を検証」 ※同じ日の発言なのに、「事故を検証」と「対応を検証」で2人の発言内容…

【第122話】他病院でのバイト疑惑

地元A新聞社が取材を進める過程で、竹田くんが在籍中から新天地でバイトをしていたのではないかという疑惑が浮上する。遅刻早退・無断欠勤の常習犯の竹田くん。手術禁止中に他病院で許可なきバイトをしていても処分されなかったのか? 地元A新聞社・編集長…

【第121話】全国報道のインパクト

全国報道を受け竹田くんの患者からの問い合わせが増え始めた。市民病院を怖いと思う人々が増え、救急車の搬送の際に「市民病院だけはやめてくれ」と懇願する人まで現れる始末。 病院関係者は、竹田くんとの戦いでは患者との連帯意識(同じ被害者意識)を持っ…

【第120話】個別検証は一行

地元A新聞社は、当時の医療関係者に取材し「個別検証の会議には参加していない」との証言を得る。それを記事にする。つまり医療事故調査委員会は開催されていないのだ。ところが議会では、市長や市民病院の事務局長が「委員会に準ずる会議を開いていた。議…

【第119話】全てがハリボテ?

待てど暮らせど、学会に検証資料は届かなかった。その頃、地元A新聞社は学会に取材した。そこで「検証資料が届かないので督促を行うつもり。」という事実を知る。 ちゃんと検証したならなぜ出し渋るのか?地元A新聞社は市民病院に対する疑念を深めていった…

【第118話】なければ作れば良い!

「1件以外は医療過誤ではないと発表したなら根拠を示せるはず」として、学会は市民病院に検証資料の提出を求めた。 そもそも医療事故調査委員会すら開いていない。困り果てた院長は医療安全に検証資料の作成を命じる。一人の看護師が市民病院を救うため・・…

【第117話】全件外部検証?

赤池市の公報によって、大手メディアの記者は、医療事故の全件で外部検証が行われ、その結果、医療過誤が1件であったという認識を持ってしまう。そして、その認識が記事化された。しかし、事実とは異なり誤報である。 院長が4か月前の記者会見で口走った「…

【第116話】全国ニュース報道

新天地に移って3カ月後、突如として医療事故多発事件が全国ニュースとして報道された。各社WEBニュースに広範囲に掲載され、SNSには憶測が躍った。竹田くん「もうだめだ。俺は完全に終わった・・・」院長「あと3ヵ月だった・・・さすがに辞任もやむなしか…

【第115話】誤って静脈へ

2本目は動脈に挿入したつもりだったが誤って再度静脈へ挿入してしまう。事態を打開しようと思いっきり引き抜いたところ・・・プチッ!「あれ?」管が引きちぎれて一部が体内に残ってしまった!! 手技が乱暴で、普通は起こり得ない事故だった。この医療事故…

【第114話】『思いっきり』は封印!

(竹田くんの退職直前)「次の職場から問い合わせがあっても、彼のトラブルは伝えない様に」と通達された。 (新天地に移って、ちょうど2カ月後)重症患者が運ばれてきた。竹田くん、出動!「カテーテルだけど『思いっきり突き刺す』は封印しよう、患者を大切に…

【第113話】学会と医局

提訴を受け市民病院では箝口令が敷かれた。裁判以外の竹田くんの事(他の医療事故や勤務態度など)について何を質問しても、病院の回答は決まっていた。「訴訟に関わる事なので回答は控えさせていただきます。」一件の医療事故の訴訟を理由に、他の全ての医…