脳外科医 竹田くん

あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

【第103話】師弟の契り

ひとたび師弟の契りを結べば、弟子の生き様を最後まで見守るのが師匠。 彼は最初、おっちょこちょいな「困った奴」にすぎなかった。自由放任状態に置かれた結果、今彼は病院を破壊しようとしている。この衝動は彼自身のキャリアも破壊してしまうだろう。 た…

【第102話】臨戦態勢

パワハラ訴訟対策の臨戦態勢が敷かれた。竹田くんは休暇後、外来診療への復帰を申し出たが拒否された。勤務態度も監視され始めた。 花房看護部長は疲弊する看護師たちのことが何よりも心配だった。竹田くんの暴言を録音するためボイスレコーダーを携帯する者…

【第101話】秘密の作戦会議

資格取得に失敗したとは言え、竹田くんはまだ2枚のカードが残っていた。古荒先生への刑事告訴と院長に対するパワハラ訴訟である。 ところで、院長は、いかにして竹田君を迎え撃ったのか?古荒先生の事情聴取の1カ月前・・・院長は、古荒先生が刑事告訴された…

【第100話】背後からの急襲

久しぶりに不破弁護士が来院し、病院幹部との攻防戦を繰り広げた。「古荒医師によるパワハラは明白であり、手術解禁を要求する!」「そ、それは・・・」 一方、竹田くんの元には学会事務局から連絡があった。 「・・・年の全手術症例のオンライン報告データ…

【第99話】一緒に学ぼうぜ!

2度目の事情聴取も過酷を極めた。なんとか殺意を自白する事は我慢した。 古荒先生はその足で病院に向かい残務をこなした。(警察のイメージは固まっている。なんとか禁固刑ではなく罰金刑で済まないか?禁固刑なら人生が終わる。) 古荒先生の弁護士は院長…

【第98話】好意的な和解案

やむ得ず古荒先生も代理人弁護士を立てた。 次の事情聴取の日の直前に、竹田くんから電話がかかってきた。「不破弁護士から伝言があるんです。殺意を持って僕を突き落としたと供述する事を条件に、刑事告訴を取り下げても良いらしいですよ。」「これが犯罪者…

【第97話】ひとり歩むもの

警察の事情聴取は想像以上に過酷なものだった。医療事故報告書など提出された公式資料には竹田くんのウソを証明できるものは無かった。すでに古荒医師が暴行事件の犯人であるという筋書きが出来がっていた。 「どうしてこうなったのか?」自問自答する古荒先…

【第96話】人生はじめての取り調べ

翌日、いつ収監されるのかとドキドキしながら待っていたが、結局何も起きなかった。 市民病院に新任の事務局長がやってきた。兵頭事務局長だ。その頃、赤池市では職員の不祥事が相次ぎ、綱紀粛正をはかるため新たに事務局長が送り込まれてきたのだ。 古荒先…

【第95話】即日起訴

最初、虚偽の医療事故報告書は皆にとってハッピーなものに見えた。だが、これは医療を冒とくした呪いの文書。この文書はこれからたくさんの人々を不幸にしていくが、まずそれは警察を騙した。 告訴したとの通知が古荒先生の元に届く。権謀術数を駆使した謀略…

【第94話】あり得ない計画

手術禁止のままだと外科医生命が終わる。竹田くんはいよいよ焦り始めた。(竹田くんみたいなタイプは負け始めた時が一番危険になる。)竹田くんは、あり得ない計画を思いつく。 「古荒先生、ごめんね。でもボクの苦境をわかってください。先生ならきっと許し…

【第93話】刑事告訴への道

竹田くんは服務規程違反で処罰される事も無く、虚偽報告書を逆手にとってパワハラ訴訟をちらつかせていた。 院長は譲歩しつづけ、いつのまにか古荒先生が暴行事件を起こしたかのような既成事実が積み上げられていった。 日常的に古荒先生は竹田くんに脅され…

【第92話】接近禁止命令

事態が動かないのを見て、竹田くんは不破弁護士に未だにパワハラ暴力が続いている事を伝える。正義感あふれる不破は、暴力医師・古荒先生を止めようと決意する。 院長は、古荒先生に竹田くんの半径5メートルに近づかないように命令する。接近禁止命令である…

【第91話】勲章にしか興味が無い男

古荒と竹田の物語には、何か普遍的なものを感じる。 報告書の偽造で他人の功績を横取りして勲章を得ようとする男と、周囲から指摘されていたにも関わらず彼の危険性に気づかずに自分の小隊を壊滅させられしまう素朴だが優秀な伍長を描いた映画「戦争のはらわ…

【第90話】医療関係者の抵抗

病院上層部は、不破弁護士の強い圧力にひるんだ。そして古荒と院沢を懲戒処分にすべきか検討(調査手続き)に入った。 院沢は、上層部が竹田くんの言いなりになるのを見て、そのあまりの理不尽さに激怒した。 ちゃんと仕事をやっている側が最悪の場合、解雇…

【第89話】闘士・不破の戦い

歴史とは皮肉なものだ。 第二次世界大戦のフランスで圧政と闘ったレジスタンスの英雄でも、アルジェの戦いでは、アラブ人を抑圧する側に回る。 映画「アルジェの戦い」でアラブ人によるレジスタンス運動の掃討作戦を指揮したマチュー中佐(元レジスタンスの…

【第88話】古荒先生の改心

時間が戻るが、竹田くんの階段転落事故の一か月前に、脊髄専門の薬師丸先生から古荒先生に電話がかかってきた。 薬師丸先生は「手術動画を見たぞ!なぜ止めないんだ!お前も同罪だ!自分の家族でも止めないのか!」と電話越しで猛烈に怒り狂った。 ※赤池市民…

【第87話】不破弁護士の怒り

人権派弁護士を使って院長に圧力をかけた竹田くんは、誰も注意しない自由放任状態を手に入れた。だが、手術の無い病院勤務は、覇気がなく楽しくない。 籠り部屋から不破弁護士に電話しては古荒先生の悪行を吹き込んだ。「古荒先生は僕をはめようとしています…

【第86話】院長の孤独

市民病院 不破弁護士は一旦去ったが、また必ずやって来る。 院長は孤独だった。ただでさえ、院内政治を隠然と支配する『古(いにしえ)のもの』に院長は疎まれていた。パワハラ裁判、医療事故公表などの失点は、立場を危うくする。 また、パワハラ裁判になれ…

【第85話】見透かされた弱み

市民病院 らつ腕弁護士の不破は、すぐに赤池市民病院の弱みを見抜いた。 「重大事故を連発させているなら、なぜ公表しないのか?事故調査委員会はちゃんと開いたのか?」 院長は焦る。そもそも、竹田くんの一連の医療事故とまともに向き合えるわけがないのだ…

【第84話】人権派弁護士・不破

市民病院 竹田くんの最終兵器とは、人権派弁護士の不破を投入する事だった。 不破弁護士は、弁護士と言うよりは闘士と呼ぶべき人物だ。もはや伝説と化したその数々の武勇伝において、不破はつねに弱者の側に立ち権力との熾烈な死闘を繰り広げてきた。 院長室…

【第83話】こいつら潰す!

市民病院 竹田くんは、看護師の院沢に意見された事にブチきれて「こいつを潰す」と決意する。院沢に限らず、日増しに脳外科病棟の看護師との仲は険悪になっていった。 竹田くんはそろそろ最終兵器を使う時が来たと思う。そして、医師秘書の銀谷に「弁護士に…

【第82話】家族が騒ぎ出した

市民病院 呼び出せども竹田くんは見つからなかった。ようやく夕方になって連絡がついた。 そのあまりに怪しげな経緯を見て、家族が騒ぎ始めた。家族には竹田くんがどんな事をやってきた医師か事前知識が全く無かった。そうした中で騒いだので、医療安全は完…

【第81話】術後に容態悪化

市民病院 古荒先生は病院にかけつけた。竹田くんのカテーテルは殺人行為に等しいからだ。 だが、手術室では、ルンルンしながらカテーテルに夢中になっている竹田くんがいた。森先生は、竹田くんの手技の雑さにゾッとしている。 術後、古荒先生に叱られる竹田…

【第80話】研修医は見ていた!

市民病院 毎年夏になると岡山から研修医がやって来る。今年も2人やってきたが、竹田くんの勤務実態を見て驚愕した。 術前カンファレンスでは、出来る医者を気取って古荒先生に説教を垂れる竹田くん。それを見て森先生はイラつく。 その日は、森先生と竹田く…

【第79話】他の病院からの苦情

市民病院 竹田くんの患者について、他の病院からも苦情が何件も来ていた。 抜糸するのを忘れて他病院へ転院させたり、転院先で頭に水が溜まっているのが発覚したり、救急担当時の患者を朝まで放置して高度な医療が可能な病院へ搬送させなかったり・・・etc。…

【第78話】試薬強奪事件

市民病院 古荒先生は、竹田くんにパワハラ暴力医師の濡れ衣を着せられた後も、変わりなく籠り部屋の掃除をし、竹田くんがさぼった分の穴埋めの業務をこなした。竹田くんが来る前よりもずっと大変な毎日になっていた。だが燃え続ける溶鉱炉のように古荒先生の…

【第77話】策士の愛読書

市民病院 竹田くんはあれよあれよという間に、病院に対する地位回復を求める戦争に必要な武器を全て揃え終えていた。 ところで、竹田くんの本棚には歴史小説が並んでいる。 頭脳で難局を乗り越えた策士(軍師)たちの物語を竹田くんは好んだ。たとえば大作「…