脳外科医 竹田くん

あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語

【第85話】見透かされた弱み

市民病院

 らつ腕弁護士の不破は、すぐに赤池市民病院の弱みを見抜いた。

 「重大事故を連発させているなら、なぜ公表しないのか?事故調査委員会はちゃんと開いたのか?」

 院長は焦る。そもそも、竹田くんの一連の医療事故とまともに向き合えるわけがないのだ。

 貝山さんと福永さんの手術を含む数件の医療事故を、黒石副院長の知人の脊髄専門医・薬師丸先生にビデオ検証してもらったが・・・送られてきた検証結果はありえないような内容だった。

 「ありえない手技」「何が起きても不思議でないと思われる」そこには、長年外科医をやってきた院長ですら見た事が無いような酷い文言が並んでいた。

 その検証資料を見て、医療安全責任者の森中は思考停止してしまった。そのまま検証作業を放棄。

 その結果、竹田くんに責任は無く古荒医師に全責任があるという内容の脳外科医3人の印鑑が押された虚偽報告書が正式文書となったままとなっていたのだ。

 「検証も完了せずに手術禁止とは・・これは立派なパワハラではないか!」と不破は激怒する。