脳外科医 竹田くん

あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語

【第88話】古荒先生の改心

 

 時間が戻るが、竹田くんの階段転落事故の一か月前に、脊髄専門の薬師丸先生から古荒先生に電話がかかってきた。

 薬師丸先生は「手術動画を見たぞ!なぜ止めないんだ!お前も同罪だ!自分の家族でも止めないのか!」と電話越しで猛烈に怒り狂った。

 

赤池市民病院が検証を依頼した外部有識者、薬師丸医師(脊椎脊髄外科専門医)は、偶然にも古荒先生の大学院時代の指導医であり、師弟関係にあった。「お前も同罪」という厳しい言葉は愛の鞭そのものだった。

 

 古荒先生は、その時、はたと自分も同罪であったと気づく。医療事故の被害者が自分の親や妻だったら・・・。

 それから古荒先生は変わった。被害者に献身的に寄り添い、被害者本人や家族から大変に信頼を寄せられた。