脳外科医 竹田くん

あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語

【第82話】家族が騒ぎ出した

市民病院

 呼び出せども竹田くんは見つからなかった。ようやく夕方になって連絡がついた。

 そのあまりに怪しげな経緯を見て、家族が騒ぎ始めた。家族には竹田くんがどんな事をやってきた医師か事前知識が全く無かった。そうした中で騒いだので、医療安全は完全に家族をクレーマーと見なして扱った。

 だが、家族に対しては、臨床工学技士のカテーテル治療ボイコットの件も、院長の侵襲的検査禁止の命令も、古荒先生が竹田くんのカテーテル検査を阻止するために奔走した事も全て秘された。この事実がバレると話が違って来るのだ。

 医療安全の杉下は、手術禁止にされてもなお失敗を繰り返す竹田くんを見て、「自分の母親が脳外科の患者になる事があっても、竹田医師には絶対に治療されたくない」と考えた。

 竹田くんと家族の面談が行われたが、そこには南病棟の看護師の院沢も同席した。竹田くんがあまりにも家族の質問をはぐらかすので院沢は思わず、「ご家族様はそういう事を聞いているのではない」と竹田くんに意見してしまう。