脳外科医 竹田くん

あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語

【第43話】赤い池の底

「止血が出来ない」という院長の情報通り、竹田くんは止血ができないので骨の切削部分は赤い血の池となっている。

 池の底が見えないのにドリルを突っ込んで削っている。古荒医師はそれを止めることなく「そういうやり方を以前に習っていたんだろう」と解釈する。古荒医師がさすがにヤバいと思い止めに入った時はすでに手遅れだった。

 手術室が一瞬で凍りついた。竹田くんは「もう終わりだ。」と思い震えている。

 配線の束が神経だとすると、その束の中にドリルの歯を突っ込んで巻き込んだような事が起こった。目で見ても神経が切れまくっている。

 

06/03 18:15 1コマ目 切削以前に止血を行わなければならない状況をより正確に描写するためセリフを「ちょっと止血して!」に変更する。

【第42話】福永さんは練習台

 竹田くんは、福永さんに麻酔がかかってから手術に対する不安があることを古荒先生に伝えた。たが、竹田くんから「脊椎専門医の浅尾先生の第一助手として200例の手術経験がある」と聞かされていた古荒先生は、福永さんの手術箇所が2つあることから「これは良い練習になる」と考え、自分が手本を見せるからその通りやるように言う。

 

 竹田くんの心配をよそに、古荒先生は淡々と手本を披露していく。しかし、腰椎の形状すらちゃんと理解していない竹田くんが一回見ただけで理解できるわけがない。オペ看や技師の見ている前で、二度と断れない状況に置かれた竹田くん。断崖の端に追い詰められた心境だった。一方で、福永さんは自分が練習台に使われている事など知る由もない。

 

次は竹田くんの番だ。

古荒先生は、竹田くんにスチールバーを用いて骨の切削を行うように指示する。しかし、それはあくまでも「骨の切削用として」という意味だった。

 

06/03 18:08 更新履歴  2コマ右 古荒先生のセリフ 「ちゃんと見ててね!」風に

06/03 18:08 更新履歴  4コマ左 古荒先生のセリフ スチールバーの使用について読者の反応に一部誤解が見られるため分かりやすく変更。

※スチールバーを使う事には賛否はあるが、すくなくとも科長は使い"続けろ"とは命じていない事を明確化するためのセリフ変更。あくまで荒削りの部分をスチールバーでやれと命じているだけにすぎない。(それに対して竹田くん側が指示内容を誤解している可能性は残した表現で描いている。)

【第41話】ウソがバレちまう!

 

 竹田くんは、貝山さんの頚椎をドリルで貫通したあの時の感触を忘れられない。

 今回の手術は、手術箇所が2カ所もある。一か所成功してももう一か所で失敗するかもしれない。どう考えても成功するとは思えない。

 だが、麻酔医やオペ看の目の前で負けを認めるのは外科医のプライドが許さない。だが負けを認めないと、一生を棒を振るにかもしれない!竹田くんは葛藤する。

 「そもそも200例で第一助手なんてやってねえ!このままだとウソがバレちまう!」

 そして「自信がありません」と意思表示する竹田くん。しかし、古荒医師は「これはいい練習になる。200例で第一助手をやった経験があるなら余裕でしょ。」と考えてしまう。

 

更新履歴 06/03 20:17 題名の他、セリフ全体を変更。

変更に至った作者の心境変化・・・ストーリー的にはキャラクターに純粋さがある方が面白いので、ここでキャラクターの良心の面を垣間見せることでドラマチックなシーンを演出した。だが、思い直せばそもそも「200例で第一助手を務めた」という竹田くんの嘘がこのシーンの前提にあり、その前提から考えると「自信がありません」というセリフを良心の発露のみに単純化すると第2部との整合性が全く取れなくなる。また第2部で明かされたようにあまりにも性善説で物事を考えすぎる科長は、「200例で第一助手を務めた」という竹田くんの言葉を前提に動いていたと考える方が自然な流れとなる。

 ゆえに「200例で第一助手を務めた」との大嘘をシーンの中心に据えたストーリー展開に変更。このような大胆なストーリー変更がある事もこの漫画の魅力として楽しんで頂ければ幸いです。

【第40話】74歳女性

市民病院

 竹田くんが福永さんを手術に誘導する際の脅し文句として用いた「透析になる」ってのは真っ赤なウソだ。この手術と透析は全く関係がない。これは患者さんの自己決定権を奪う行為でもある。

 74歳女性に対して腰部脊柱管狭窄症に対する後方減圧椎弓切除術(2か所)が行われる。脊髄系の手術だが、今のところ、竹田くんの脊髄手術は、四肢麻痺と嚥下機能の廃絶という悪夢のような結果しか生み出していない。つまり失敗率100%だ。

 福永さんは失敗率100%の医師に手術を受ける。はたして福永さんは生きて手術室から戻って来れるのか?

 執刀に挑む竹田くんの脳裏には四肢麻痺になった貝山さんのイメージが浮かんでいた。

【第39話】外来がガラガラ

市民病院

 竹田くんの悪い噂は、職員を通じて町に広がり始めたようだ。久しぶりに竹田くんの外来を見るとガラガラ。

 だが、診察室では新たなターゲット(74歳女性)に手術勧誘を行っている。その様子は、まるで霊感商法のようだ。

 女性の家族が急な手術日程について意見すると、「急がないと透析になる。」と脅す竹田くん。

【第38話】チューブが心臓腔内に

 

 竹田くんのPCの調子が悪いと、当たり前のように古荒先生が修理する。修理しているその顔はどことなく楽しそう。

 新年早々、竹田くんが医療ミス。脳室腹腔シャント術にて。術後に、シャントチューブが内頚静脈を突き破り心臓腔内に迷入している事が発覚。

 古荒医師が当然のように再手術。その姿を見て、呆れるオペ看。

【第37話】僕は天才肌

市民病院

 古荒医師は竹田くん育成計画を練る。だが、これ以上、老人患者を使って技術向上を図っても犠牲者を増やすだけだ。

 古荒医師は「疑似血管縫合練習キット」をプレゼントする事を思いつく。これで上手くなってくれ。

 だが、竹田くんには鼻であしらわれる。「僕は天才肌なので本番で上手くなる。」と言い放たれる。

 本番で上手くなるって言うけど、それは人間を練習台にするって事だ。それをやってる脳外チームは、メンゲレ博士と何が違うんだろう?と古荒医師は思いに耽る。医学の歴史は人体実験の歴史ではあるけれど・・・。

【第36話】史上最低の医師

 海崎教授は竹田くんの事を「史上最低の医師」と断言する。

 医局からの破門・・・史上最低の医師・・・古荒医師はそれ以上の事を海崎教授から聞けませんでした。

 海崎教授は、この後、竹田くんが助手をやっていた頃の手術の件で訴訟に巻き込まれます。

 竹田くんの元指導医から本音を聞けた事で、彼が『稀代のポンコツ脳外科医』であることが明白になりました。学会の有名人2人が育成を断念した人材。その事実は、むしろ古荒医師に使命感を抱かせることになります。

 

更新履歴: 2023/06/02 13:30 4コマ目の古荒先生の内面描写 大雑把な従来の感情表現を改め、より現実感のある内面描写に変更しました。

更新履歴: 2023/06/03 17:58 2コマ目 主語を変更(古荒先生が主人公であると誤解させないため)。4コマ目 「育成を諦めた」に変更。

 

修正に至った作者の心情・・・脳外科学会の大物2人が諦めた人物を使い続けるとしたら作者は「レガシーを残したい」ぐらいの野望が必要とストーリーテラーとしては考えた。だが、現場の人間の身になってみると「そんな人間でも一旦入職させた以上はなんとか一人前にして使うしかないではないか?」という気持ちもありうると思った。これは田舎の市民病院の場合、そもそも医師が来ない背景がある。これは都会の病院の科長の感覚とはかなり違う。都会の感覚で見てはいけない。選択肢が無い以上、目の前の人間をなんとか使ってやってゆくしかない。そのような気持ちを考えると、レガシーなどと言う言葉で単純化してはいけないと思い直した。

 

※ちなみに、脳外科学会の大物2人のところは脳外科自体が巨大で、部下の数が比較にならないほど多い。ポンコツ脳外科医を干していても他にやらせる人間はいくらでもいる環境。

【第35話】竹田くんの滋賀時代

 

 古荒医師は、脳神経外科学会の新年会に参加する。

 そこで、竹田くんの滋賀時代の指導医の海崎教授にばったり出会う。

 古荒医師が「竹田くん」の名を出すと、海崎教授はギョッとする。そして「竹田くんを医局から破門したんだよ」と打ち明ける。

 そう、竹田くんは滋賀の医局から破門されていたのだ。

【第34話】嚥下機能の廃絶

 

 80代男性への前方除圧術が行われた。

 結果は嚥下機能の廃絶という悲惨なものだった。必死で手術の失敗のせいでないと弁明する竹田くん。それを見て古荒医師は「手術で大きな失敗がなくても、技量が稚拙なので合併症が起きるよね」と思う。

 家族は人生100年時代だからと手術をすすめた竹田くんに抗議する。だが、看護師長の退院勧告が始まった。

【第33話】80代男性

 年末のクリスマスシーズンがやってきた。

 その日は吹雪だった。今日の手術は80代男性。竹田くんの因縁の首の手術である。

 古荒医師は思い出す。2か月前に貝山さんの頚椎をドリルで貫通させて四肢麻痺にした一件は悪夢だったと。あの二の舞は避けたい。

 だが手術を止めると竹田くんはプンプンする。彼との仲が険悪になるのは嫌だ。

 「まあ、今回は前方除圧術なので前回よりも慎重にやってもらおう。(貝山さんは後方除圧術)」と考える古荒医師。その自分自身の姿を引いて眺めて、ゴクリと唾を飲むもう一人の自分。

 

更新履歴 06/03 11:05 4コマ目 『連ちゃんパパ』感の排除 より現実味のある内面描写

セリフ変更に至った作者の心境変化・・・事故が短期間に連続する流れは連ちゃんパパそのものだが、登場人物の科長の心境はもっと真面目なものであった方がリアルかもしれないと思い直して『連ちゃんパパ』感を薄めた。今後、この漫画がある種の教訓として語り継がれてゆくために必要な修正。

掲載漫画の内容まとめ

<第一部の古荒先生のセリフを改変した理由・作者の余談など>

こちらに書いております

 

※説明文を入れる事のできないpixivでの公開は中止しました。漫画としては読みにくい形式(ブログ)ですいません。

 

 当ブログで連載している漫画の概要は以下のまとめ画像をご覧ください。 

市民病院

<<物語の概要>>

<<第一部>> 医療事故篇 1話~55話

 竹田くんという稀有の脳外科医が来て以降、脳外科患者に手術後、後遺症が次々に発生する。ついには臨床工学技士が「殺人行為に加担したくない」とボイコットを起こす。その後、脳外科の暴走はますます加速して行く。

 

<<第二部>> 野望篇 56話~106話

 竹田くんは医療事故について古荒先生に全責任があるという内容の虚偽報告書を作成した。病院上層部も虚偽と知りながらそれを正式文書とした。

 文書上で自分に責任が無い事を証明できたと思った竹田くんは、執刀解禁されない事にいら立ちをつのらせる。外科医としてのプライドがズタズタになったドン底の心境の中、竹田くんは起死回生の秘策を練る。その秘策は、医療事故の内容以上にありえないものだった。

 

<<第三部>> 隠蔽工作篇 107話~142話

 竹田くんのやらかした数々の医療事故がついに全国報道される。

 市民病院は外来患者が激減し窮地に陥る。病院が取り得る策は竹田くんが起こした医療事故の規模をただひたすらに小さく見せる事だった。

 ところが、脳神経外科学会から前触れもなく、ある通知が届く。その通知の内容は、市民病院に対する死刑宣告にも等しいものだった・・・

 

<<第四部>> --篇 143話~ 

 内容・製作時期ともに未定 

 

【第30話】工学技士ボイコット

 ついに前代未聞の臨床工学技士のボイコットが発生。竹田くんのカテーテル手術は危険で殺人行為の加担者になりたくない。患者だけでなく機械も雑に扱い壊す。

 技師長の野洲に直談判に行く古荒医師。あっさり断られる。

 「彼らがいないと手術の安全確保が難しくなる」と思うものの、頭を前向きに切り替える。

 

更新履歴 06/03 10:52 全体的に『連ちゃんパパ』感の排除。

 

セリフ変更に至った作者の心情・・・ そもそも後半2コマは連ちゃんパパ感を出して笑いを取るために作ったコマ。このコマがなくてもボイコット後、竹田くんがカテーテルを続けた流れは変わらない。だが、連ちゃんパパを演じている科長の心情を冷静に見ると、田舎の市民病院で新たな医師が来ることがほぼ絶望的な状況下であることを考えると、なんとか育ててカテーテルを上手くなってもらたいと真面目に考えているかもしれないと思い直した。結果だけ見ると連ちゃんパパだが、中間の心情は軽い気持ちではなかったかもと。物語的には面白くなくなるが、変更する事にした。(4コマ目左のコマは技師長の反応がやや意味不明なコマとなってしまった(笑))

【第29話】科長 古荒さん

 竹田くんに手術技量が無い事はわかっていた。

 京都の浅尾先生は竹田くんに執刀させなかったし、富士院長も直接京都を訪れて止血ができないので外科医として使えない事を確認済みである。

 古荒医師は一人前にするため育てるつもりだった。竹田くんは、手術事故以外にも、通常の医師としての仕事においてもトラブルばかり起こしている。まさにクレームの嵐である。

 竹田くんになぜ執刀させ続けたのだろう?

 「性善説を信条にすれば自然と良い方向に道は開ける」という考えが古荒先生の信条だった。(周囲から見ると)2人の関係は父子の関係に似ていた。

 

更新履歴: 06/03 10:37 全体的に見直し。前半部の修正の反映や、第一部と第二部の物語的な整合性を整えるための改変。

【第28話】竹田くん強制排除


 医療安全推進室・責任者の森中は、医療安全推進室・室長の黒石副院長に電話する。黒石副院長がオペ室にやってきて、竹田くんに「もう終わりにしよう」と言う。竹田くんの腕をつかんで強制的にオペ室から排除しようとすると、「俺の患者だぞ!」と抵抗する竹田くん。

 古荒先生の目の前で、オペ室から排除される竹田くん。「俺は外科医だぞ!」と叫ぶ竹田くん。

 竹田くんは腹を立ててしばらく帰ってこなかった。