脳外科医 竹田くん

あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語

【第52話】医療安全機能せず

市民病院

 医療安全推進室では、元看護師の2人が頭を悩ましていた。「もし、このような連続医療事故が公になることがあれば、わたしたちに責任が押し付けられるかもしれない」と。

 冬国さんの手術から1週間後、竹田くんはカテーテル手術を行った。臨床工学技士が「殺人行為に加担したくない」とボイコットした、あのカテーテル手術である。竹田くんのカテーテル手術の危険性はすでに十二分に予見されていた。

【第51話】看護師が疲弊してます!

市民病院

 医療事故が多発しても問題にならない病院でも、医療事故の後遺症患者が増えてくると問題になる。世話をする看護師たちが疲弊するからだ。医師の失敗の尻拭いをさせられていると不満を募らせた看護師たち。彼らの中の何人かは、最後に残った医療事故サバイバーの福永さんに対して水面下でイジメ行為を行い始めていた。

 

【第50話】家族の怒り

市民病院

 竹田くんに脳を削られ過ぎて、現世の人々との通信手段を失ってしまった冬国さん。それは昏睡という言葉で表現されるような生易しい状態では無かった。

【第49話】削りすぎた竹田くん

 竹田くんは昨年7月の二の舞にならないように、きっちり腫瘍を削り取ろうと頑張る。その結果・・・脳の生命維持に必要な部位まで削り取ってしまった!

 さらに、採用前から分かっていた事だが、ここでも止血が出来ない竹田くんの弱点が惨事を引き起こした。冬国さんの血圧は見る見るうちに低下していった。

 

更新日時: 2023/06/02 14:10 1コマ目 古荒先生をモニター室から指示を出す設定に変更

【第48話】ぜひ僕に執刀を!

 冬国さんはもともと古荒医師の患者だった。竹田くんが執刀を熱望したため、採用時の男の約束が履行された。

 冬国さんは、脳腫瘍摘出術を施されるのだが、そもそも竹田くんは、昨年7月の手術で腫瘍の8割が取り切れず手術に失敗している。古荒医師は不安だった。

 

更新日時: 2023/06/02 14:08 4コマ目 手術助手を山崎先生に変更

更新日時: 2023/06/02 15:06 1コマ目右 竹田くんの手術熱望を強調

更新日時: 2023/06/02 15:06 竹田くんの手術熱望を強調する題名に変更

更新日時: 2023/06/02 15:16 3コマ目左 創作者の意見を排しより客観的な記述に変更

更新日時: 2023/06/02 15:16 2コマ目左 より客観的な記述に変更

 

コマ内容変更に至った作者の心情・・・そもそも竹田くんが古荒先生の患者の手術を熱望していたという記述が無いと、頼まれてもいないのに科長が自主的に竹田くんに患者を与えたと読者に誤解を与える可能性に気づいたため修正。

【第47話】地獄の扉

市民病院

 その日はまるで地獄が現世に侵攻してきたようなそんな雰囲気の漂う日だった。 市民病院の外観はまるでベックリンの絵画「死の島」のようだ。

 今日再び、手術室の扉が開く。それはもはや手術室の扉ではない。地獄に通じる扉である。今日、この扉を入る者は、冬国さん。扉をくぐるまでは、普通に生活している男性だった。

 

【第46話】「恕」の裏の意味

市民病院

 竹田くんに手術をさせればさせるほど、犠牲者は増えていた。

 ところで赤池市民病院の廊下には「恕」という文字がペタペタと貼ってある。

 普通の病院であれば、患者へのおもいやりをアピールする宣伝文句となる用語である。だが、赤池市民病院の場合、その意味が180度異なる。

 「恕」には「私たちは奉仕者であり感謝されるべき存在」「市民が医療関係者を思いやれ」「医療関係者の責を問うな」という傲慢な意味が隠されている。

 実際、異様に医療関係者が医療関係者に甘いのがこの病院の空気であり、古荒医師が竹田くんに甘かったのも、この病院の空気に同調していたからである。

 これこそが、長年、医療安全が軽視されてきた事の背景にある思想であり、この病院の患部である。自分たちで自分たちを賛美し、自らに都合のいい思想を作り上げ、国や学会の指導に沿った医療安全のマニュアルも全てのその思想で形骸化させてきたのだ。

 「いまどき、こんな医療安全が甘々でコンプライアンス軽視しまくりの病院なんて他には無い。」と竹田くんも感じ取っており、どんな重大な失敗をしても許される赤池市民病院が竹田くんは大好きだった。

【第45話】歩けなくなった福永さん

 数時間で終わると言われた手術で10時間以上待たされた家族。その間、病院からは何の説明もなかった。術後、竹田くんが家族に説明する。「硬膜から神経がドバッと出てしまい、それを戻すのに時間がかかってしまいました。」と。

 福永さんを竹田くんの手技向上のための練習台として利用した結果、福永さんは歩行困難と膀胱直腸障害と神経障害性疼痛の3重苦となった。その激しい痛みは、貝山さんを襲ったのと同じ痛みである。

 だが、竹田くんなりに精一杯説明を行った結果、家族は弁護士を立てたり賠償請求をする様子はいまのところ無かった。竹田くんは九死に一生を得た。

 だが、問題は上層部がこの時点に及んでも、脳外チームの暴走を止めなかった事だ。事態は破局へと突き進んでゆく。

 

更新履歴 06/03 21:07 2コマと4コマ変更。竹田くんの説明は竹田くんなりには誠実であったが、実際はウソが含まれていた事を臭わせる内容に。家族が騙されている前提で、請求する気配が無かった事。

 

記載内容の変更に至った作者の心情・・・謝罪シーンについて作者は竹田くんに感情移入しており事故後の説明において『彼なりに』誠実に対応をしたかのような内容になっていた。『彼なりに』というのはもちろん竹田くん基準なので患者的にはウソまみれである。第一部全体について言えることだが、かなり竹田くんに感情移入して描いており、彼の患者に対する不誠実さを大目に見ている。漫画の中心人物だからついつい愛着が芽生えてしまうし、竹田くんのみが悪いのか?という感情も描いている際に強かった。そこから脱して若干、患者の視点寄りとなったページに変更。

【第44話】神経切断事故

 途中でスチールバーからダイヤモンドバーに交換していれば、ここまでの惨事は起こらなかっただろう。

 医療安全推進室にオペ室から電話が入り、おなじみの森中・杉下コンビが驚愕の表情を浮かべる。

 硬膜からドバっと出た神経を戻す作業は何時間もかかった。その最中に、古荒医師は竹田くんに家族に起きた事を説明するように指示する。

 竹田くんは驚愕する。これまで起きた7件の医療事故は全てすっ呆ける事で逃げ切ってきた。今回は逃げきれないのだろうか?

 

06/03 18:28 更新履歴 1コマ目 あくまでスチールバーを使い「続けた」事が原因で惨事が起こっている事を強調。

↑実はこの箇所は過去に何度も描き直している。様々な医師に意見を聞いたが、スチールバーなど使わないという医師もいれば、昔は粗削りはスチールバーでやるのが普通だったという医師もいる。共通しているのは「神経に近い場所に到達するまで延々と粗削り用のドリル使い『続けて』はいけない」という事。なので、このセリフに変更する。

【第43話】赤い池の底

「止血が出来ない」という院長の情報通り、竹田くんは止血ができないので骨の切削部分は赤い血の池となっている。

 池の底が見えないのにドリルを突っ込んで削っている。古荒医師はそれを止めることなく「そういうやり方を以前に習っていたんだろう」と解釈する。古荒医師がさすがにヤバいと思い止めに入った時はすでに手遅れだった。

 手術室が一瞬で凍りついた。竹田くんは「もう終わりだ。」と思い震えている。

 配線の束が神経だとすると、その束の中にドリルの歯を突っ込んで巻き込んだような事が起こった。目で見ても神経が切れまくっている。

 

06/03 18:15 1コマ目 切削以前に止血を行わなければならない状況をより正確に描写するためセリフを「ちょっと止血して!」に変更する。

【第42話】福永さんは練習台

 竹田くんは、福永さんに麻酔がかかってから手術に対する不安があることを古荒先生に伝えた。たが、竹田くんから「脊椎専門医の浅尾先生の第一助手として200例の手術経験がある」と聞かされていた古荒先生は、福永さんの手術箇所が2つあることから「これは良い練習になる」と考え、自分が手本を見せるからその通りやるように言う。

 

 竹田くんの心配をよそに、古荒先生は淡々と手本を披露していく。しかし、腰椎の形状すらちゃんと理解していない竹田くんが一回見ただけで理解できるわけがない。オペ看や技師の見ている前で、二度と断れない状況に置かれた竹田くん。断崖の端に追い詰められた心境だった。一方で、福永さんは自分が練習台に使われている事など知る由もない。

 

次は竹田くんの番だ。

古荒先生は、竹田くんにスチールバーを用いて骨の切削を行うように指示する。しかし、それはあくまでも「骨の切削用として」という意味だった。

 

06/03 18:08 更新履歴  2コマ右 古荒先生のセリフ 「ちゃんと見ててね!」風に

06/03 18:08 更新履歴  4コマ左 古荒先生のセリフ スチールバーの使用について読者の反応に一部誤解が見られるため分かりやすく変更。

※スチールバーを使う事には賛否はあるが、すくなくとも科長は使い"続けろ"とは命じていない事を明確化するためのセリフ変更。あくまで荒削りの部分をスチールバーでやれと命じているだけにすぎない。(それに対して竹田くん側が指示内容を誤解している可能性は残した表現で描いている。)

【第41話】ウソがバレちまう!

 

 竹田くんは、貝山さんの頚椎をドリルで貫通したあの時の感触を忘れられない。

 今回の手術は、手術箇所が2カ所もある。一か所成功してももう一か所で失敗するかもしれない。どう考えても成功するとは思えない。

 だが、麻酔医やオペ看の目の前で負けを認めるのは外科医のプライドが許さない。だが負けを認めないと、一生を棒を振るにかもしれない!竹田くんは葛藤する。

 「そもそも200例で第一助手なんてやってねえ!このままだとウソがバレちまう!」

 そして「自信がありません」と意思表示する竹田くん。しかし、古荒医師は「これはいい練習になる。200例で第一助手をやった経験があるなら余裕でしょ。」と考えてしまう。

 

更新履歴 06/03 20:17 題名の他、セリフ全体を変更。

変更に至った作者の心境変化・・・ストーリー的にはキャラクターに純粋さがある方が面白いので、ここでキャラクターの良心の面を垣間見せることでドラマチックなシーンを演出した。だが、思い直せばそもそも「200例で第一助手を務めた」という竹田くんの嘘がこのシーンの前提にあり、その前提から考えると「自信がありません」というセリフを良心の発露のみに単純化すると第2部との整合性が全く取れなくなる。また第2部で明かされたようにあまりにも性善説で物事を考えすぎる科長は、「200例で第一助手を務めた」という竹田くんの言葉を前提に動いていたと考える方が自然な流れとなる。

 ゆえに「200例で第一助手を務めた」との大嘘をシーンの中心に据えたストーリー展開に変更。このような大胆なストーリー変更がある事もこの漫画の魅力として楽しんで頂ければ幸いです。

【第40話】74歳女性

市民病院

 竹田くんが福永さんを手術に誘導する際の脅し文句として用いた「透析になる」ってのは真っ赤なウソだ。この手術と透析は全く関係がない。これは患者さんの自己決定権を奪う行為でもある。

 74歳女性に対して腰部脊柱管狭窄症に対する後方減圧椎弓切除術(2か所)が行われる。脊髄系の手術だが、今のところ、竹田くんの脊髄手術は、四肢麻痺と嚥下機能の廃絶という悪夢のような結果しか生み出していない。つまり失敗率100%だ。

 福永さんは失敗率100%の医師に手術を受ける。はたして福永さんは生きて手術室から戻って来れるのか?

 執刀に挑む竹田くんの脳裏には四肢麻痺になった貝山さんのイメージが浮かんでいた。

【第39話】外来がガラガラ

市民病院

 竹田くんの悪い噂は、職員を通じて町に広がり始めたようだ。久しぶりに竹田くんの外来を見るとガラガラ。

 だが、診察室では新たなターゲット(74歳女性)に手術勧誘を行っている。その様子は、まるで霊感商法のようだ。

 女性の家族が急な手術日程について意見すると、「急がないと透析になる。」と脅す竹田くん。

【第38話】チューブが心臓腔内に

 

 竹田くんのPCの調子が悪いと、当たり前のように古荒先生が修理する。修理しているその顔はどことなく楽しそう。

 新年早々、竹田くんが医療ミス。脳室腹腔シャント術にて。術後に、シャントチューブが内頚静脈を突き破り心臓腔内に迷入している事が発覚。

 古荒医師が当然のように再手術。その姿を見て、呆れるオペ看。