脳外科医 竹田くん

あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語

【第47話】地獄の扉

市民病院

 その日はまるで地獄が現世に侵攻してきたようなそんな雰囲気の漂う日だった。 市民病院の外観はまるでベックリンの絵画「死の島」のようだ。

 今日再び、手術室の扉が開く。それはもはや手術室の扉ではない。地獄に通じる扉である。今日、この扉を入る者は、冬国さん。扉をくぐるまでは、普通に生活している男性だった。