脳外科医 竹田くん

あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語

【第63話】戦争準備

 竹田くんは以前の職場でも、自分の居場所を守るために戦った。多勢に無勢でも一歩もひるまなかった。

 今回の戦争は、病院の組織権力との闘争となる。竹田くんは圧倒的に不利だ。しかし弱者の立場でも強者と対峙できる勇気を竹田くんは持っていた。

 竹田くんは策士である。策士は、頭脳で形勢挽回する。

 明智光秀の言葉に「武士の嘘を武略という」という言葉がある。

 竹田くんの嘘も知略である。虚偽報告書、数字を自分に都合よく解釈して作成した『脳外チーム 3人の合併症発生率の比較データ』の書類。それらの捏造文書が竹田くんの兵器となる。

 脳外科部屋でそんな作戦立案・武器製造に時間を費やしている間に、病棟の現場は大混乱に陥っていた。竹田くんの患者はほったらかしにされていたのだ。看護師の不満は爆発寸前。

 いつしか脳外科部屋は竹田くんのせいで「籠り部屋」と呼ばれるようになっていた。

 

更新履歴: 2023/06/04 21:51 2コマ目右 「弱者だが強者と対峙できる勇気の持ち主」

 

コマ内容変更に至る作者の心境・・・第97話「ひとり歩むもの」で古荒先生が『勇気』という言葉を発する伏線をここに張っておく。竹田くんには、天安門事件で戦車の列の前に一人立った『無名の反逆者(tank man)』並みの無謀なまでの勇気がある。たった一人孤立しても持てる勇気は、多くの日本人が持たないものであり、竹田くんの強さに繋がっている。