脳外科医 竹田くん

あり得ない脳神経外科医 竹田くんの物語

【第60話】帯刀禁止のサムライ

市民病院

 すでに赤池市の町中では「すごい医師が市民病院にいる」という噂が広まっていた。噂の内容は荒唐無稽すぎて「そんな医者いるかな?」と部外者には、にわかには信じられなかった。

 手術禁止が解けないので竹田くんは焦り始めた。古荒医師は上層部に掛け合ったが「人が死ぬ」という理由で断られた。

 外科医が執刀を禁じられることは、侍が帯刀を禁じられる事と同じ名誉の問題である。竹田くんは手術禁止命令を「ハラスメント(嫌がらせ)」と受け取った。